• 安倍大智

「行ってきてあげてくれない?」ってむずくない?物語

おこんにちは!

おてんきがよいですね。

清々しい日です。

今日も言葉の話です。

おっとそこな奥さん、

ハンケチを落としましたよ。

ねえ奥さん、奥さんてば。

おやおやどうやら聞こえてない。

エアーポッズのプロかしら。

麗しいお耳に誇らしく

装着されているではないか。

ノイキャンしてるにちげえねえ。

見知らぬ美麗なご婦人が

ハンカチおっことしたってえのに

こちらの声は届かねえ。

あげくこちらはあっちもこっちも手が塞がってるときたもんだ。

たまの気まぐれ、たまげておおきな花束を

お向かいさんにあげようと、

ちょいと寄り道したのであって、

深い理由はねえのですけど、

たまたま買った花束が、こんなエフェクト起こそうもんなら、そうと知ってりゃ買わねえや。

おいおいそこな奥さんよォ。

やっぱり聞こえやしてねえもんなあ。

ノイズキャンセルも困りもん。

とんでも便利な機能といえど、こんな時にはこまった微妙。

てんでありがてえこっちゃねえ。

困ってしまったその刹那、

すれ違いしはうら若き青年。

やいそこな青年、そこの若えの、足腰の強き若人よ!

しがねえオイラのお頼みを

聞いてくれちゃあくれねえかい。

なんでえなんでえオジイさま、そんな爆音発さずともよ、アタクシの耳は健康でえ。

オジイさまみてえに潰れてねえんで、普通に言えばきこえまっしゃろがい。

おお青年!若え男よ!

足腰の強き若人よ!

オイラの声が聞こえるってえ寸法か?

てかオイラの耳も潰れちゃいねえ、

キサンの耳とは比べもんにもならねえ性能、

負ける気がせんのう。

オイラは生来声がでけえ。

そんなオイラのでけえ声まで

キャンセルするたあアップルさん

おそろしいほどの高機能。

1人のときゃあ

便利するのうご婦人よ。

こいつあ失礼しやんした。

オジイさまたら決まっていつも

お耳が良くねえもんですわ。

思い込みとはおっかねえけど

アンタのお耳もどうかねえ?

ましてや声がでけえときたら、

こいつあ×××にちげえねえ!

アタクシそうたら思ったもんです。

なんだとキサマなんつった若人。

よく聞こえんかった。

やっぱり聞こえてねえじゃんか!

こいつはたまげたジイさまだ!

ところで若人、ようく聞け。

よくききゃあわかる話をすんぞ。

なんでえなんでえオジイさま。

あんまりアタクシを舐めんでくだせえ。

あそこなご婦人歩かれるのが

キサマのマナコに映ろうか?

映ろうともよ、ご老人。

なんと美麗な背中の美人。

ではそこな地面に落ちとる布は、

キサマのマナコに映ろうか?

映ろうともよ、ご老人。

ありゃまた綺麗なハンケチじゃい。

よろしい。そのハンケチはご婦人が

おっことしてったお品での。

なんとそいつあいけねえな!

教えてやらにゃあ男が廃る。

やいそこなご婦人よ!

こんなにこんなに美麗なハンケチ

落とそうもんなら、てえへんです。

悪い男に絡まれますよ!

アタクシ守って差し上げましょう。

ボデーガードというもんです。

若人だまれキサマまじで。

うるさい。

あのご婦人には聞こえねえ。

声張り上げても無駄じゃいよ。

なぜ。

ノイキャンじゃいよ、若人よ。

キサマの声とてノイズじゃよ。

なんという言い方をするジジイ。

傷ついた。

すまんかったな若人よ。

事実はいつも残酷よ。

オイラも必死に呼んだもんだが、

ついには諦めかけていた。

そこにキサマが現れて

キサマは手ぶらの若人だ。

これ幸いとキサマに願う。

なんでえなんでえおジイさま

早くしねえか。

背中美人が遠ざかる。

では申し上げるぞ若人よ。

このハンケチの落下したるを、

あのご婦人に伝えるにゃ、

直接行って肩に触れ、

届けてやらにゃあなるめえよ。

そいつあたしかにそのようだ。

アタクシの大声も、ジジイの声も、

あのご婦人にゃあ届かねえ。

そこで若人よ、よろしいか。

このハンケチを、あのご婦人に、

届けに「行ってきてあげてくれない?」

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っていうときによく使う、「行ってきてあげてくれない?」という表現ですが、よくよく考えると頭が混乱してきませんか?

え?例えの前振りが長い上に面白いからもう混乱している?

それはすみません。

では手短にします。

まず「行って」がgo

「きて」がcome

「あげて」がgive (her)

「くれる」がgive (me)

で、「くれない」なのでwill not give (me)

行ったのに来るし、あげるのにくれない?

ほらね🥳

お疲れ様でした。

新中野製作所

安倍大智


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