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  • 執筆者の写真安倍大智

日本石立て協会

石を立てさせたら右に出るものはおらず、左に出るものはいるが前に出るものはいない、そして後ろに出るものは、そもそもいない。こんにちは、下です。


何を言っているかはこの際どうでもよくて、これ見てくださいよ。

ね?

ね?


もうどうでもいいくらいかっこいい。


近年でも名作ですね。


この日は釣りに行ったものの全く何も釣れず、釣りでの屈辱を晴らすように、雪辱を果たすように、石を立てました。


私はもともと石を立てるのが好きでして、いろんな石を立てていく中で、さまざまな「石立て論」を培っては誰にも伝えずにいたわけですが、


この時は一緒に行った鈴木も石立ての魅力に気づき、興味を持ってトライしていたので、その真髄を伝えたりしていました。


鈴木はわかったようなわからないような顔でいくつかの石を積み上げていました。

石を「積む」鈴木、「立てる」安倍
赤が安倍、青が鈴木

鈴木の一石目はかなり良かった。

この日始めたということを踏まえれば、この上ないくらいの一石目だ。


ところが、鈴木はその上に二石目、三石目と小さな石を積み上げていくではないか。


むう....となってしまう。


石立ての持つ静謐さ、今風にいえばミニマルでエモいとでも言いましょうか、その削ぎ落とされた美の価値を無下にし、立った一石目のワビを、土台になったゼロ石目のサビを、欲に塗れたその両手でかき回し、ピンと凪いだ水面にアヒルボートで侵攻するようなその所業。


私はその所業にはらわたを煮え繰り返しながらも、石立てビギナーの試行を暖かく見守った。


それも長くは続かなかった。仏の顔も3度までだ。


あろうことか鈴木は、四石目に手を伸ばし、直径にして3cm程度であろう小石を三石目の上に置いたかと思うと「よし....」みたいなオーラを発しながら立ち上がるではないか。


そんなわけないだろう


何が「よし...」だ。






とは、言わなかった。感情に流されてはいけない。石立ティストはうろたえない。






さて、石を立てるとは何か。


鉱物と堆積した動植物の骸の混在、無機物と有機物の合間にある「石」というものを、何と捉え、その石を立てるという行為を何と捉えるか。


これは一朝一夕で結論にたどり着けるような論点ではないことは確かだ。


だから鈴木の考えと噛み合わなくてもしょうがない。

いろんな石立て論があっていい。


鈴木の名誉のために言っておくと、鈴木のセンスはかなりのものだった。

いし選び、立てる向きなど、石の造形をよりよく引き出すような選択ができていたと思う。



さっきも言ったように、石は無機物と有機物の混ざったもの、その合間にあるものだと私は考えている。


それは間違っているかもしれないけど、学術的な分類は今どうでもよい。


私は石を触っていて、そう感じることが多い。


つまり有機物的な側面が石にもあるんですよと言いたい。


有機物は、例えば植物は、大体のものは太陽の光を求めて明るい方へ伸びていく。


つまり、生きようという意思がそこにはある。


石にも、その名にもあるように、意思を感じることがままある。


きっと「石」と名付けた人は素晴らしい詩人だろう。


石立てをしている時、私はかなり、石と会話しているに近いと思う。これだけ言ってしまってはスピリひげダンディだと思われてしまうけど、それでもいいよってくらい、石とのコミュニケーションが大切だ。


重心はどこですか、ここですか、土台の石のどこが好きですか、ここですか、てことはこんな感じですか、こうですか、それともこっち向きですか.....


あ....


この「あ....」の時にはすでに石は立っている。


こうやって立て!というノリではなく

こうですか?それともこうですか?あ...立った。


というか、あ.... 立っ「てる」。に近い。


そこに意思を感じる。



石といえば


石立てと直接は関係しないけれど、石好きの人物といえば、田村カズマ氏が思い当たる。


閻魔様のシャクを奪って人間界にやってきた平安風の少年・おじゃる丸を匿う田村家のひとり息子だ。


カズマは言う

「僕が好きなのは小石、なんでもないただの小石。そういうのがいいんだよね〜。ね、小石くん。」

(「カズマ 小石くんにときめく」より)




すごいだろ。だから『おじゃる丸』好きなんですよ。



新中野製作所

安倍大智

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