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執筆者の写真鈴木和人

心霊体験ツアー(中)

 どうもこんばんは、連続ブログ冒険譚「心霊体験ツアー」へようこそ。

まだ「心霊体験ツアー(序)」をご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。


赤水門の章

私たちが最初に辿り着いた場所は「赤水門」と呼ばれる場所でした。

関東随一の心霊スポットとして知られており、非常に有名な場所です。

「旧岩淵水門」とも呼ばれ、埼玉県川口市と、東京都北区赤羽を結ぶ大きな橋が架かっており、荒川と隅田川を隔てる大きな水門です。

上潮時には隅田川から荒川に水が流れ、引き潮時には荒川から隅田川に水が流れるのです。


この「赤水門」はつまり、「終点」なのです。

何が言いたいかはもうお分かりでしょうか?

「全てが行き着く場所」ということです。


様々な逸話があり、非常に自殺が多い場所だとか、首無し地蔵があるとか、そんなことは我々にはあまり関係のあることではなかった。

重要なのは、霊を体感、確認できるかどうかということだった。


現在の赤水門はとても美しく舗装されているらしく、北区5景にも選ばれるような素晴らしい場所で、シーバスの釣れるスポットとしても有名なようです。


我々が臨んだ頃はまだ、「未開の地」といった感じで、足の長い草が生い茂る鬱蒼とした真っ暗な場所だった。

足場が不安定で、手がかりがなければ非常に危険な場所だったため、時折現れる街灯の灯に照らされた赤い柱を手がかりに進んでいった。


夏場ではあったが、川の中腹には中洲になっているところがあり、枝垂れ柳(シダレヤナギ)が点々として居るなんとも雰囲気満点な場所だった。


我々は初回という事もあり、遊び感覚が強かったのだろう。


コンドー

コンドーは恐れ知らずでカリスマ性に溢れる男だ。

正解なんて糞食らえ!といった感じで、いつも自分の道を信じてやまない。

そんな彼の周りにはいつだって人がたくさんいた。

屈託のない笑顔と大きな笑い声は周りの人を安心に包み込むのだ。

家の前のコインランドリーに駐車しようとバックにギアを入れた瞬間、誤ってアクセルを強く踏み込んでしまった。

入り口の自動ドアのガラスは大破し、ガラスの破片が夜空に舞った。

彼は大笑いをしていた。


決死のスイム!!

コンドーはこのツアーの発案者であるスズキの考えに共感していた。

そんなコンドーだからやってくれたのだ。

赤水門のすぐ脇を、中洲に向かって泳ぎ始めたのだ。

水深が浅かったとはいえ、風は強かった。非常に危険な行為だった。

「ばかやろーー!!」とムーンライトが一喝した。

コンドーが帰ってくるなり、

ムーンライトは、岸に点々と生えている枝垂れ柳の前にたち、右手を木に添えて、立ちションをし始めた。(当時は禁止行為という制限がなされていなかった)

アナルはタバコを吸っていた。


ムーンライト

ムーンライトはピュアで貧乏なやつだ。とてもみんなから愛されているし、音楽の知識においては右に出るものはいなかった。

ムーンライトにはあまりにも美しい、神秘の、神話的な逸話がある。

同じ高校だったコンドーとアナルとムーンライトは、コンドーの家に泊まっていた。何泊もしている。

そんな中、血気盛んだった19歳のムーンライトは我慢ならず自慰行為を始めてしまう。

逆光の月明かりに照らされたその姿は、この世のどんな神秘よりも笑えたと、後にコンドーとアナルは語っている。

以来、彼は月明り(ムーンライト)と呼ばれるようになった。


オーブ

立ちションをし始めたムーンライトを即座にヤマギシが写真に撮る。

松明をこさえた私はすかさずムーンライトを炎で照らした。

我々は撤収することにした。

川を泳いだコンドーにも何事もなく、枝垂れ柳のムーンライトにも何も異常はおきなかった。

撮影した写真を確認すると、後にわかったのだが、「オーブ」と呼ばれる白い斑点のような浮遊物が張り付くように写真に写っていた。

しかし、おそらく強風に煽られたムーンライトの小便なのだろうとは、唯一の女性メンバーであるヤマギシには言えなかった。


帰路

我々は、帰路に着くことにした。

ムーンライトの実家の車である、ワインレッドのイプサムに5人が乗り込み、赤羽方面から川口市方面に向け、車を走らせた直後だった。

新荒川大橋の中腹で

「ゴツンンンンッッッッッ」

鈍く太い音が車内を包み込んだ。

かなりの重量のあるボルトが直撃したような、確かな鈍い感覚を右後部座席の側面に、全員が感じた。

その席には、ヤマギシが座っていた。

なぜヤマギシに、、、?皆そう思ったに違いない。

しかし怖がるヤマギシに、車の外壁になんの痕跡もなかったことは伝えられずに終わった。


私たちは、霊の存在に近づけたかもしれない!と、その時思った。



次回 カルドハイム注目カード



鈴木和人

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